賃金計算「どうやるの?」と思ったら

賃金計算でイレギュラーな事態

賃金計算は毎月行われていますが、時々イレギュラーな事態が発生します。例えば次のような時の計算処理を決めてあり、すぐにできるならば問題はありません。「どうやるのだろう」と思ったらルール付けが必要です。

  1. 遅刻や早退をした時の賃金控除は?
    従業員が遅刻や早退をした場合ノーワーク・ノーペイの原則で賃金はその時間分は支払う必要はありません。従業員が10 分遅刻したら原則10 分の賃金控除ができます。見落としがちなことに
    日給月給制………1 か月単位計算だが不就労分を賃金控除する
    完全月給制………1 か月単位で算定され労働時間に関係なく定額で支給する
    といった種類があり、完全月給制は控除しませんが、日給月給制でも就業規則に不就労分の賃金を控除すると定めておかないと控除できません。
    なお、遅刻の常習者には反省を促すために懲戒処分の減給にする対応が認められる場合があります。例えば「3 回遅刻したら半日分の賃金を控除する」といった対応は認められる可能性はあります。ただし、労働基準法上減給は平均賃金(過去3 か月の賃金額を暦日数で除した金額)の1 日分の半額を超えてはならず、賃金支払期間の総額が賃金総額の10 分の1 を超えてはならないというルールがあり、制限があります。
  2. 未払い分を払わなければならない
    賃金の未払いは勤務報告の間違いによって生じることがあります。会社は悪気がない場合が多いと思います。確認すべきなのは「いつの時点までさかのぼって支払いをする必要があるのか」ということですが、賃金請求権は当面の間3 年となっています。
  3. 過払いを返還してもらう
    過払いもよく問題になります。いつの時点まで遡り請求ができるかですが、過払いのあった時点から10 年(会社が過払いの事実を知った時点から5 年)です。従業員本人が過払いに気づきながら黙っていた時は、利息を付けて返還請求できます。特に取り決めしなければ利息は年3%です。過払い分を賃金から控除もできますが、労使協定が必要なことと一度に大きな控除をすると影響が大きいので留意が必要です。

給与計算でミスがわかった時の対処法

ここでは、給与計算にミスがあったときの対処法や、給与計算のミスによって起こりうるリスク、給与計算のミスを防ぐ方法などについて解説します。

給与計算でミスが発覚したときの対処法

基本的に、給与計算のミスは発生しないことが望ましいです。しかし、手作業で給与計算を行っている場合や、雇用条件など給与に関わる変更があった場合は、計算時にミスが起こることもあります。給与計算のミスに気がついたときは、どう対処すればいいのでしょうか。

  1. 従業員に説明とお詫びをする
    給与計算のミスが発覚したら、当該の従業員に対して、すぐに説明とお詫びの連絡をします。
    連絡の際は、ていねいな謝罪に加えて「◯月◯日の残業代が反映されていなかった」など間違いのあった箇所を明確にし、「差額は◯月分の給与支給において調整する」など具体的な対応方法を明示します。そして、今後はミスが発生しないよう、是正策とチェックを徹底する旨を真摯に伝えましょう。
  2. 給与明細を訂正する
    給与計算のミスを従業員本人に連絡すると同時に、ミスのあった給与明細の訂正を行い差し替えます。特に、基本給をはじめ、通勤手当などの各種手当、経費の立替金といった支給項目は、源泉徴収される所得税額や雇用保険料にも影響する場合があるため注意が必要です。
    また、給与から控除する社会保険料にミスがあると、年末調整時の所得税額に影響します。給与計算のミスに気づかないまま所得税を納めてしまうと、修正手続きが必要になってしまうため、できるだけ早く給与計算を訂正しましょう。
  3. 給与の過不足分を精算する
    従業員本人への謝罪と給与明細の訂正が終わったら、給与の過不足分を精算します。ミスによって給与を多く支払った場合と、少なく支払っていた場合では、対処法が異なります。

過払い時は当月から翌月支給日までに調整する

労働基準法第24 条では、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」「賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」と定められています。この「全額支払いの原則」により、たとえ給与を多く支払ってしまったときでも、当月中に調整することが望ましいです。

以下略
弥生 給与計算お役立情報より

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