含み益の課税を回避するための会社分割スキームとは?~適格分割の判断ポイントと税務上の注意点~
こんにちは!大田区クラウド経理代行オフィスです!
事業を営む中で、不動産を所有する法人が、含み益を抱えたまま売却を検討するケースは少なくありません。
特に100%オーナーの個人事業者が法人を通じて不動産を保有している場合、その資産の売却に伴う税金負担は無視できない問題です。
「どうすれば不動産を外部売却する際に、法人税や所得税の負担を最小限にできるのか?」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。
今回は、「会社分割(新設分割型)」を用いた不動産の所有権移転スキームについて解説します。
この方法を使えば、不動産の売却益に対する法人税の発生を回避しつつ、個人の分離課税による節税が実現できる可能性があります。
この記事では、スキームの概要や適格分割とされるための要件、さらには行為計算否認のリスクについて、実例を交えながら分かりやすくご紹介します。
特に、不動産を含むM&Aや組織再編を検討している中小企業オーナーや税理士の方には、ぜひご一読いただきたい内容です。
含み益がある不動産を売却する際の税務リスクとは?
まず、不動産の外部売却を法人が行った場合、含み益が発生していると、その時点で法人税が課税されます。
たとえば、取得価格が5,000万円の不動産が1億円で売れた場合、差額の5,000万円に対して法人税が課されることになります。
法人税を回避する一つの選択肢として「新設分割型の会社分割」があります。
新設分割型による不動産の所有権移転スキーム
新設分割型の会社分割とは、既存の会社が一部の資産を新しく設立する会社に移転するスキームです。
この仕組みを使えば、不動産を直接外部に売却するのではなく、新会社に移転したうえで、その新会社の株式を売却することが可能になります。
この方法では、株式売却により「有価証券の譲渡所得」が発生し、個人の所得税は分離課税(20.315%)で済みます。
一方で、不動産をそのまま法人で売却すると、30%超の法人税がかかることもありますから、節税効果は非常に大きくなります。
適格分割となるための要件とは?
こうしたスキームを利用するには、「適格分割」として認められることが前提条件となります。
適格性があるかどうかを判断するには、次の2つのポイントを満たす必要があります。
- 分割対価が株式のみであること
株主に対して、持株比率に応じた株式の交付が行われる必要があります。これは事実で判定される明確な基準です。 - 完全支配関係が継続すると見込まれること
分割前後で、支配関係が継続すると見込まれている必要があります。ここでの「見込み」というのは、分割時点での合理的な予測であり、後日売却の可能性があるとしても、それが計画段階であれば適格性を否定する理由にはなりません。
行為計算否認のリスクとその判断ポイント
適格分割の要件を満たしたとしても、なお「行為計算否認規定」の適用リスクが残る点に注意が必要です。
これは、形式上は合法でも、実質的に租税回避行為と判断されると課税当局から否認される可能性があるというものです。
とはいえ、今回のようなスキームは、不動産を分割元会社に残したまま売却する場合と比べて、構造が大きく異なるわけではありません。
そのため、「分割先で所有したから否認」「分割元なら適格」という考え方は、制度として非対称性が強く、税務上も公平性を欠くものです。
加えて、最終的には株式売却時の譲渡益課税と、将来の不動産売却時の課税が二重で発生する仕組みでもあるため、課税の繰延べはあるにせよ、租税回避とまでは言えないのではないかと感じています。
まとめ
今回は、不動産の含み益に対して直接的な課税を回避するための「新設分割型スキーム」について、適格性の要件と行為計算否認のリスクを踏まえてご紹介しました。
このようなスキームは、法人税・所得税の負担を最適化しつつ、M&Aや事業承継をスムーズに進めるうえで非常に有効です。
ただし、適格要件や税務上の解釈に曖昧さが残ることもあるため、慎重な検討が必要です。
気になる方は是非、お気軽にご連絡ください。


