合同会社の設立で見落としがちな「業務執行報酬」の税務ポイントとは?法人成り・法人社員制度の基本も徹底解説
こんにちは!大田区クラウド経理代行オフィスです!
近年、合同会社を設立する方が増えており、経営や税務の自由度が魅力とされていますね。
一方で、「法人を社員とした場合の業務執行報酬」や「税務処理の方法」で戸惑う経営者も少なくありません。
この記事では、合同会社の基礎知識から、法人社員への報酬支払の実務、税務の注意点まで、具体的な事例を交えて解説します。
法人社員制度や税務上の留意点に不安がある方に、ぜひ読んでいただきたい内容です!
合同会社は注目されている法人形態
合同会社は、設立費用が株式会社と比較して安価で、登記の手間も少ないというメリットがあります。
2024年には、全国で約15万社の法人が新設され、そのうち約4.2万社、つまり約28%が合同会社として設立されました。
東京商工リサーチのデータによると、この傾向は年々強まっており、今後も合同会社の比率は増えることが予想されます。
個人事業主からの「コストを抑えて法人化したい」という声が多くあります。
合同会社では法人が代表社員になることができる
合同会社においては、「社員=出資者」がそのまま業務執行権を持ちます。
この社員は、個人でも法人でもなることができます。
さらに、合同会社では複数の社員の中から特定の者を「業務執行社員」や「代表社員」として定めることができます。
この柔軟性により、持株会社がグループ会社の合同会社を代表する形で経営を担うケースも少なくありません。
あるIT系スタートアップでは、親会社が合同会社の代表社員を務めることで、迅速な経営判断と投資の効率化を実現していました。
職務執行者の選任と報酬の支払い方法は2パターンある
法人が業務執行社員や代表社員になる場合、その業務を実際に行うのは「職務執行者(しょくむしっこうしゃ)」です。
この職務執行者には、法人内の役員や従業員を任命するのが一般的ですが、社外の第三者でも構いません。
報酬の支払い方法には2通りあります。
- 法人社員に対して報酬を支払う方法
- 職務執行者個人に対して直接支払う方法
実務では、経理処理や税務リスクを踏まえて、どちらが適切かを慎重に判断する必要があります。
法人社員に対して請求書を発行させ、法人に一括で業務執行報酬を支払う形を採用し、消費税の課税仕入れとして処理するケースもあります。
法人社員への業務執行報酬の税務処理は要注意
【所得税】
この報酬は、個人への労務の対価ではないため、所得税の源泉徴収は不要です。
【法人税】
法人税法第34条に基づき、業務執行社員である法人は「法人の役員」として扱われます。
役員給与の規定が適用され、支払う報酬が「定期同額給与」などでなければ、損金算入できません。
【消費税】
報酬は、「経営に対する役務提供」とみなされるため、課税取引となります。
法人社員は、適格請求書発行事業者としての登録を行い、適切に消費税を処理することが求められます。
まとめ
合同会社は、柔軟な経営体制を構築できる魅力的な法人形態です。
とくに、法人が代表社員や業務執行社員になれる点は、グループ経営や資本効率を重視する企業にとって大きな利点です。
しかしその一方で、報酬の支払いや税務処理についての理解が不十分だと、思わぬリスクに繋がる可能性があります。
設立段階から、報酬の支払方法や税務の取扱いまで、慎重に設計することが重要です。
気になる方は是非、お気軽にご連絡ください。
参考
東京商工リサーチ 2024年「合同会社」の新設法人4万2,107社 簡易な手続きと運用を背景に前年比3.5%増